九条美術の会 ニュース No.4

2006年10月29日

どんな流れにも負けず、一人一人の戦争反対の火をけしてはなりません

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九条を守る為の言葉

堀文子

六十年前、あの大戦の惨禍の苦しみを味わった日本人が戦争放棄を世界に向けて誓った事を忘れてはなりません。

戦争を仕掛ける権力者は「正義」や「名誉」といった美辞麗句で国民の同意を促しますが同調してはなりません。

戦争は何のかかわりもない善良な民衆を巻き込み、ひと度戦いが起きれば忽ち飛び火し世界中を巻きこむ大戦になるのです。国民の安全を守る為の平和を勝ち取るのに戦争を手段にしてはならず戦争にかりたてる権力に同調してはなりません。民衆を不幸のどん底に落とす戦争に勝利の報酬などないのです。

最近の日本のマスコミ、スポーツ等で全体主義的な熱狂が感じられ、戦争を知らない世代の享楽的、刹那的な傾向が心配です。戦争をあやつる権力者の号令に熱狂したのは過去のドイツ、日本の国民だった事を忘れてはなりません。狂信者の野望に巻き込まれては大変です。気がついた時には反対の声が出せなくなるのです。

十五世紀、オランダの人文学者エラスムスは「平和の訴え」でのべています。 「いかなる平和も、たとえそれが正しくないと言われても、正しいと言われる戦争よりはよいものなのです」。 どんな流れにも負けず、一人一人の戦争反対の火を消してはならず、憲法九条を守り抜きましょう。

堀文子氏 Fumiko Hori 略歴
1918年 東京に生まれる 1940年 女子美術大学卒業 1948年 創造美術の第1回展から出品、早々に奨励賞受賞。 1951年 創造美術が新制作協会と合流し会員として参加、 1952年 第2回上村松園賞を受賞 1974年 創画会結成に参画。同年多摩美術大学教授。 1987年 第36回神奈川県文化賞受賞 1992年 イタリア・アレッツォで個展開催 1994年 名都美術館で「堀文子展」開催(02年にも開催) 1999年 創画会を退会。同年3月多摩美術大学を退職。 箱根成川美術館で「堀文子展開催」(01年、04年にも開催) 2004年 ニューオータニ美術館で「堀文子展」開催
◆「九条美術の会」の発起人をしてくださった大野五郎さんが5月に、鳥居敏文さんが8月にお亡くなりになりました。謹んでお悔やみ申し上げます。両氏の平和への思いをしっかりと受け止め、今後ともがんばっていきたいと思います。

「九条美術の会」平和の旅Ⅱ

立命館大学国際平和ミュージアムと 「かやぶきの里」美山町の旅 tabi2.jpg

無言館ツアーにつぐ、「九条美術の会」平和の旅第二弾、5月20日から22日、立命館大学国際平和ミュージアムと「かやぶきの里」美山町を訪れました。この旅には37人の方々が参加しました。
1日日は立命館大学国際平和ミュージアムを見学した後で、安齋氏のお話を聞き、平和への思いを深めあいました。その後、美山町自然文化村河鹿荘へ。 2日日は若葉あふれるかやぶきの里をスケッチ。思いがけず一年に一回のかやぶきの里の消火訓練も経験し、思い思いに懐かしの田園風景を写生しました。夜は 合評会で参加者の作品を鑑賞しあい有意義なひとときを過ごしました。参加者は「食事も美味しかったし、いい話も聞けて、その、うえゆったりとスケッチもで きて、とても素敵な旅でした」と語っていました。

憲法守る不断の努カを(安齋育郎氏のお話要旨)

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立命館大学は1940年当時軍国大学でした。3000人の学生を戦蜴に送り、3000人の学生を軍事工場に送りました。戦後、マツカーサーの指令 で、軍国主義的な大学をつぶす方針が出ましたが、立命館大学は、徹底的に反省を加えて、総長に末川博氏を迎え、平和と民主主義の大学に変身しました。その 後、平和のシンボルとして彫刻家本郷新氏の制作した「わだつみの像」を誘致しました、1953年12月8曰のことです。以来、今でも不戦のつどいを毎年開 催しています。平和ミュージアムは、1990年平和を発信する社会施設としてつくられました。以采5O万人の人たちが訪れています。

戦争は武器だけでは戦えません。銃後の人が必要で、とりわけ戦争推進の文化が重要です。与謝野晶子もだんだんに戦争協カの立場になり、小川未明も戦 争へ駆り立てる文を書きました。古関裕而も予科練の歌などを作曲し、国民を駆り立てました。戦争協カを求められた画家も多くいました。藤田嗣治、小磯良 平、川端龍子、横山大観・・などです。

今、戦争のにおいが強まる中で、何としても平和の道を歩んでいかなければならないと思います。自衛隊がイラクに行きましたが、政府はなぜ自衛隊が戦 地に行ったのか、明確に言うことができません。ただ「国際貢献のため」としか言えないのです。現地で直接戦争に加担するためには、憲法九条の2項を変える 必要があります。そして、国民投票法案で 憲法を変えやすい仕組みをつくりあげようと狙っているのです。

憲法を守るというだけではなく、憲法でこそ平和をつくることができるのです。日本人は、自ら社会に働きかけをして社会変革をした経験がないため、 「主体性」に弱い面を持っています。時代劇でもアニメでも、だれか英雄が出てきて、みんな間題を解決してしまいます。その欠けている主体性を回復し、憲法 12条(この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努カによって、これを保持しなければならない。)にある国民の不断の努カで憲法を守ってい かなければなりません。

文責編集部

「九条美術ギヤラリー」を開催

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「九条美術ギヤラリー」が、7月12日から17日、東京・王子のギヤラリー「紗画夢」で開催されました。

今回の展覧会には全国各地から寄せられた作品(出品者87人、作品87点)への共感が多く寄せられました。それは多彩な内容(作品と掲示されたメッセージ)、小品でも光っている、などの言葉と、憲法九条を守る熱い想いが交差しました。

12日のオープニング(35人)、15日の「集い」(17人)をはじめ、350人余りの来展者もありましたし、地元に密着した展覧会としての意味も 持つことが出来、会場にも恵まれてよい展覧会になったとの声も多く聞かれました。13点の作品と絵ハガキが愛好者の手に渡りました。

そのことも含めて、九条美術の会の今回の初めての美術展覧会開催の意義は大きいと思います。 即ち、地域を励まし、出品者を勇気付け、美術家の運動はここにありということを伝え得たと思います。(十滝)

九条美術ギヤラリーへの挨拶  (抜粋) 川上十郎(発起人)

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「九条美術の会」が昨年六月発足以来、呼びかけ人、賛同者の数はみるみる増えたようで、僕個人としても、この反響はひしひしと肌で感じていました。 昨年秋、ちょうど「自由美術」の展覧会の頃ですが、全国から集まっている会員連中、いろんな人達から賛同の声をかけられました。こんな体験をすることは、 僕はかって無かったことで嬉しくなってしまいました。 憲法九条を守ろうとする、この運動の意義の大きさが解ろうというものです。 最近の政治のアメリカ追随の姿。来るところまで来てしまった感のある、この日本の暗さ。また昨今の国際情勢のキナ臭さに危機感を持っているからこそでしょ う。 多くの良識ある美術家が敏感に意思表示をしたものとおもっております。 憲法改悪の危機は続くと思います。何としても阻止するまで、次々と新たな運動の展開が期待されます。

絵はがきで九条守れ

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「九条美術の会」では、作品を絵はがきにして普及・販売する活動をすすめています。(5枚一組で500円)売り上げの中から「九条美術の会」へ募金してい ただいています。これまでに、伊藤定夫(前回ニュース)、根岸君夫(写真上)、新美猛(写真左)、百瀬邦孝(写真下)さんらが制作してきました。ハガキに は九条美術の会のマークや「日本国憲法は世界の宝、九条はその生命線、守りぬきましょう」の言葉などを入れてあります。是非皆さんもつくってみませんか。

九条ネット

7月16日「北海道九条美術の会」が結成されました。設立総会には劇作家の森一生氏の講演がありました。代表世話人9人、呼び掛け人136人、賛同者11 人。ニュースも二号まで発行されています。このほかにも各地で美術家が九条を守る運動をしています。福島9条美術の会(伊達市)、千葉美術・九条の会(千 葉県多古町)、美術・九条の会(横浜市)、大阪九条美術の会(大阪市)、岡山九条美術の会(岡山市)、九条を守る広島県美術の会(江田島市)

新たな呼びかけ人 (順不同)

相沢まり子(日美・金沢) 石垣むつみ(モダンアート・東京) 石川恵助(自由・熊谷)
イシマルヒデ(漫画家・吹田) 伊藤英治(新構造・上尾) 入野 忠芳(無所属・広島)
岩崎孝(日美前橋) 岩出まゆみ(モダンアート・東京) 上杉英(無所属・武蔵野)
臼田宏(無所属・所沢) 梅崎弘(職美・茅野) 梅原麦子(無所属・さいたま)
榎本栄子(無所属・北杜) 遠藤吉生(建築家協会・広島) 大嶽恵子(無所属・名古屋)
大田原晴良(新制作・船橋) 岡 本祥子(無所属・東京) 小野今(京田辺)
織茂恭子(無所属・東京) 葛野芳孝(日美・京都) 唐沢恭二(日美・前橋)
川森巧(自由・札幌) 岸上嘉 世子(無所属・横浜) 北川フラム(美術家・東京)
工藤孝生(美術家連盟・八王子) 熊谷健(道展・伊達) 熊谷睦子(無所属・広島)
熊佐明俊(無所 属・呉) 桑田義博(無所属・横須賀) 桑原笑子(平美・松戸)
工位喜代枝(阪府美協・和泉) 近藤央(無所属・羽島) 斉藤勇(第一美術・深谷)
坂 村義光(広島美術・江田島) 佐々木貴子(職美・福岡) 佐藤亮(日美・さいたま)
杉山繁男(新作家・さいたま) 鈴木貞子(無所属・さいたま) 高草 木裕子(無所属・上尾)
高田眞佐子(茨木美術・茨木) 高橋清一(日美・東京) 田島隆(ひとムージアム・長野)
田代力子(無所属・横浜) 田中節子 (曰美・流山) 田中米吉(美術家連盟・山口)
多納三勢(国画・大阪) 丹野有美子(無所属・東京) 友成光臣(日美・東京)
中尾一郎(無所属・宇 治) 中川忠司(日美・和泉) 中津川ヒロ子(きりえ・.三鷹)
中ハシ克シゲ(無所属・大津) 中村修三(日美・亀岡) 鳴海由光(職美・さいたま)
二都黎(全道展・北海道斜里) 根岸昭治(三軌・京都) 根木山和子(職美・日野)
野口信夫(無所属・熊谷) .野崎護子(平美・入間) 野々口泰代 (関西平美・京都)
服部怜子(無所属・日野) 花田伸(無所属・習志野) 浜田征一(漫画・伊勢)
原田三郎(無所属・合志) 日高有為(アンデパンダ ン・草加) 平田清隆(自由・秦野)
福岡幸一(春陽・札幌) 福重紀代子(道平和・札幌) 藤井剛志(きりえ・東京)
藤田紀(日美・さいたま) 細江 玉江(新構造・相模原) 本谷優(無所属・東京)
間處康成(兵庫平美・加古川) 松田良介(無所属・芦屋) 松本晶子(日美・東京)
松本俊郎(無所 属・横浜) 松山徹(美術家連盟・相模原) 美馬恭子(日美・江別)
宮鳥勝則(埼玉美術協・狭山) 村上善男(無所属・盛岡) 村山貢(大麻デッサン 館・江別)
森田順子(無所属・飯能) 保田春彦(無所属・神奈川) 山崎賢六郎(日美・札幌)
山下二美子(日美・奈良) 山本須美雄(二紀・豊 川) 和田義雄(日美・北海道弟子)

現在皆様のご協力で下記のような到達点となっています。引き続きご協力をお願いします。

◎呼びかけ人372人 ◎賛同者2747人 ◎推薦名簿若干名
◆更に幅広く全国の美術家の方々に訴えていくために寡金もよろしくお願いいたします。